口臭の原因は積み重なる日々の疲れにも潜んでいた!

口臭の原因は様々ですが、仕事や勉強などで忙しい状態が続くと体に疲労が蓄積し、口臭の原因になってしまうのです。
疲労臭による口臭もちゃんとメカニズムがあります。
なぜ疲れが原因で口臭がしてしまうのでしょうか。疲労が原因で起こる口臭について詳しく説明していきます。

口臭は大きく分けると3種類に分類される

口臭は大きく分けて3種類に分類されます。

  1. 虫歯や歯周病などの口腔内トラブル
  2. 生理的口臭
  3. 病的口臭

これらの口臭について詳しく見ていきましょう。

虫歯や歯周病

虫歯や歯周病からも口臭が発生します。

虫歯による口臭

虫歯も口臭の原因になります。
虫歯は歯垢に含まれるミュータンス菌による感染によって起こります。ミュータンス菌は口内の糖質から酸を作り出して歯を溶かします。
溶けて穴が空いた箇所には、さらに歯垢や食べカスが付着し細菌が発生しやすくなります。穴の空いた歯や口内に空気を嫌う嫌気性細菌が繁殖すると、メチルメルカプタンなどの悪臭ガスを発するので口臭の原因になってしまうのです。
また治療後の銀歯も経年劣化とともに銀歯と歯茎の間に隙間が出来てしまいます。隙間から細菌が侵入し、銀歯の内部で細菌が繁殖してしまい、目には見えない箇所で虫歯がさらに進行することになる二次カリエスという症状もあります。銀歯の中で細菌が繁殖するとゆで卵のようなニオイや生ゴミの腐敗臭などを発するので、かなりキツイ口臭になってしまいます。

歯周病による口臭

・歯石による炎症
私たちは食事をすると歯に食事の食べカスや歯垢が付着しますので、歯磨きでしっかり除去する事が大切です。歯垢とは細菌の塊であり、歯垢1mg中には細菌が10億個潜んでいると言われており、歯垢の中の細菌には、虫歯菌や歯周病菌も含まれています。
日々の歯磨きではどうしても磨き残しが出来てしまい、口内に歯垢が溜まっていきます。歯磨きで除去しきれなかった歯垢は、48時間経過すると歯石になります。
歯石は体にとっては異物なので、脳は歯石を退治しようと免疫物質の白血球を発して歯石と戦わせようとします。そのため歯石付近では常に白血球と細菌が戦っており、歯茎も炎症を起こしていきます。これが歯肉炎です。
白血球と細菌が戦った後の残骸は膿となるので、歯周病になると膿が出るのです。この膿も強烈に臭いのです。
また歯石が付着した歯茎からは出血も伴います。血には独特の血生臭いニオイがあるので、口臭と混ざりキツイ口臭になってしまいます。

・歯周ポケットからの口臭
歯周病が進行すると、歯と歯茎の境目にある歯周ポケットも深くなります。歯周ポケットにも歯垢がたまり歯石が付着してしまうと、歯周ポケットはどんどん深くなります。定期的に歯医者や歯周専門医で歯石除去をしてもらわないと歯周ポケットにも細菌が繁殖していき、口臭だけでなく歯周病が悪化していく原因になります。そして歯周ポケットにも膿が溜まり、どんどん強烈な口臭になっていくのです。

虫歯や歯周病は日々の丁寧な歯磨きで予防することは出来ますが、かかってしまうと歯科医院での治療が必要になります。

日頃から虫歯予防・歯周病予防を意識して丁寧な歯磨きをするようにしましょう。

生理的口臭

口臭には生理的口臭とがあり、生活の流れの中で特定のタイミングに口臭を感じやすくなります。

生理的口臭

  • 起床時
  • 空腹時
  • 緊張時
  • 疲労時
  • ホルモンバランスの乱れによる口臭
  • 飲酒や喫煙の後

これらは誰でも起こる口臭で、主に口内の唾液の分泌量が減少することによって起こります。またホルモンバランスの乱れは、女性の加齢によって起こります。
生理的口臭は、丁寧な歯磨きによって予防・改善されます。起床時・毎食後・就寝前の1日5回の歯磨きが理想ですが、最低でも起床時・就寝前の1日2回の歯磨きを徹底するようにしましょう。
特に起床時の口臭はモーニングブレスとも呼ばれるほど強烈な口臭です。これは睡眠時は唾液の分泌量が低下し細菌が繁殖して悪臭を発しているからです。唾液が減少すると口内はネバつきます。起床時はすぐに歯を磨く事が大切です。また就寝前の歯磨きも、睡眠中の細菌繁殖を抑えるために丁寧に歯磨きをしましょう。
歯磨きは歯ブラシだけでなく、デンタルフロスや歯間ブラシを併用する事で、歯垢除去率は大幅にアップします。歯ブラシだけの時の歯垢除去率は60%ですが、デンタルフロスや歯間ブラシを併用すると歯垢除去率は90%にまで上昇します。予防歯科先進国のスウェーデンやフィンランドでは、デンタルフロスや歯間ブラシは必須アイテムです。口臭予防のためにも歯ブラシだけでなく、デンタルフロスや歯間ブラシを使用するようにしましょう。

舌苔による口臭

舌の表面は糸状乳頭というヒダヒダ状のもので覆われており、糸状乳頭には食事の食べカスや口内の剥がれ落ちた細胞などが付着します。舌に付着した食べカスなどに含まれるタンパク質には細菌が発生し、舌が白いコケ状のもので覆われます。これが舌苔です。舌苔が口臭の原因になるのは、細菌がタンパク質を分解する際にメチルメルカプタンなどの悪臭を発し口臭の原因となるのです。
口臭対策は舌のケアも重要です。
舌はとてもデリケートな組織ですので、舌苔を取りたいからといって歯ブラシでゴシゴシこすることはNGです。舌のケアは舌ブラシ・舌クリーナーを使用して、舌の奥から手前に優しく引くだけで大丈夫です。これを1日数回行いましょう。あとはこまめなうがいが有効です。
うがいの際、タンパク質を除去する事ができるマウスウォッシュを使用してうがいをすると、舌苔のケアになります。

病的口臭

口臭の原因は口内だけではありません。病的口臭は体の不調によって起こる口臭で、内臓疾患が原因で起こります。
内臓疾患が原因で起こる口臭の場合は、いくら歯磨きやうがいなどの口内ケアをしても口臭改善にはなりません。原因となる内臓の機能を回復させる事でしか口臭の改善にはならないのです。

疲れからくる口臭の原因

疲れからくる口臭は、生理的口臭でもある疲労時の口臭で、誰にでもある口臭です。これは唾液の分泌量の低下によって起こる口臭です。唾液の分泌量が低下するとドライマウスの症状になり、唾液の役割である洗浄・殺菌の作用も低下してしまい、口内が乾燥して細菌が繁殖しやすくなります。
口内に繁殖した細菌は、口内の食べカスに含まれるタンパク質をエサにして、メチルメルカプタンや硫化水素などの悪臭ガスを発します。これが口臭の原因となってしまうのです。

疲労やストレスなどからくる唾液量の減少

唾液は自律神経の副交感神経が優勢の時に正常に分泌されます。
しかし、人は疲れを感じストレスがかかると、唾液の分泌量を司る自律神経に乱れが生じ交感神経が優勢になります。交感神経が優勢になると脳は緊張状態になり、唾液が出にくくなり口内が乾燥します。口内が乾燥すると、口内を清潔に保つ役割をする唾液の分泌量が低下してしまい、口内に細菌が繁殖してしまい口臭の原因となってしまうのです。

精神的な疲れからくる体内の代謝低下

過労だけでなく精神的な疲れも自律神経の乱れを生じさせ、体内の代謝を低下させます。体内の代謝が下がると、肝臓の解毒作用も低下してしまいます。すると体内に入ってきたアルコール・薬・アンモニアなどの毒素を解毒できなくなるため、残ったアンモニアは血液に取り込まれて全身を巡り、肺に達したら気化されアンモニア臭の口臭となり、毛穴からは汗としてアンモニア臭の汗が排出されます。
口臭や体臭からアンモニア臭がする場合は、疲労臭の可能性が考えられます。

積み重なるストレスからくる病的口臭

ストレスは万病の元と言われるように、積み重なる精神的ストレスも病的口臭の原因になります。ストレスがかかると自律神経に乱れが生じ、体の代謝が落ちるだけでなく唾液の分泌量も低下してしまいます。さらにストレスは肝臓の働きを低下させてしまうので、体の代謝や解毒の作用が出来なくなり、体内に毒素が蓄積されてしまいます。

「カタル性口内炎」から臭うことも

口内に物理的な刺激が起こり、カタル性口内炎が発生することで口臭がする事もあります。カタル性口内炎とは、口の中で歯が当たる、食事の時に口内を噛んでしまう、歯科矯正器具が口内に当たる等の物理的刺激で、口内に白いまだら模様やヒビが入ってしまう症状です。痛みは強くないのですが、口腔内に広がりやすく口の中が荒れた状態になり、痛みや食べ物がしみたり口臭が発生したりするようになります。
カタル性口内炎は、栄養不足・疲れ・ストレス・睡眠不足などが原因で発生することもあります。カタル性口内炎かもしれないと思ったら、しっかりと栄養を摂り、睡眠時間を増やして体を回復させましょう。体の免疫機能の状態を良い状態に保つ事が、カタル性口内炎を早く回復させることに繋がります。

臭いで病気の種類がわかる

口臭や体臭は体調のバロメーターとも言われるように、体が発する臭いで病気の種類が分かると言われています。臭いによる診断は世界中で行われてきた診療方法ですが、日本でも明治時代までは体臭で病気を診断していました。病気になると体内での作用や反応は、健康時と違ってきます。そのため特有の臭いを発するようになるのです。

酸っぱい臭い、腐敗臭

口臭から酸っぱい臭い、卵が腐ったような臭い、腐敗臭がする場合は、胃腸障害の可能性があります。

胃の不調

胃が不調になると消化不良を起こし、食べ物が胃の中に停滞してしまいます。停滞した食べ物は胃の中で腐敗・発酵し悪臭を発します。この悪臭が胃壁を通り越して血液に取り込まれて全身を巡り、肺に達して気化され呼気となり、口臭となってしまうのです。

腸の不調

腸が不調になると、腸内環境に乱れが生じます。腸内にはおよそ100種類、100兆個もの腸内細菌が生息しています。腸内細菌は、善玉菌と悪玉菌と日和見菌が存在しており、日和見菌の存在が腸内環境に大きく影響しています。
腸内が善玉菌優勢の時は日和見菌も善玉菌の役割をし、悪玉菌優勢の時は日和見菌も悪玉菌の役割をします。腸内が悪玉菌優勢になると便秘症を引き起こしてしまいます。便秘症になると腸内に老廃物が滞って腸内で腐敗・発酵し、悪玉菌が硫化水素などの悪臭ガスを発します。腸内に充満した悪臭ガスは、やがて腸壁を通り越して血液に取り込まれて全身を巡り、肺に達して気化され呼気とない口臭の原因となってしまうのです。
胃腸障害は、暴飲暴食、早食い、肉類ばかり食べるなどの偏食、飲酒、喫煙、運動不足、睡眠不足、ストレスなどの生活習慣が大きく関わっています。

アンモニアのようなにおい

口臭からアンモニアのような臭いがする場合は、腎機能障害の可能性があります。
腎臓の働きは尿を作る事であり、血液から不要なアンモニア成分をろ過して、体外へ尿として排出する役割があります。しかし腎機能が低下すると、本来体外へ排出するはずのアンモニアが体内に残ってしまい、再度血液に取り込まれて全身を巡り、肺に達して気化され呼気となり、アンモニア臭の口臭がしてしまうのです。
腎機能障害は、喫煙、暴飲暴食、飲酒、運動不足、睡眠不足、ストレス、塩分過多など生活習慣が大きく関わっています。
体の症状としては、体のむくみがひどくなる、トイレが近くなる、おしっこの色が濁り血尿が出るなどの症状が出ます。

動物のような臭い

口臭からネズミのような臭い、ドブのような臭い、下水のような臭いがする場合は、肝機能障害の可能性があります。
肝臓は代謝や解毒など体の中でも重要な役割をしています。本来肝臓は、体にとって有害な物質が体内に入ってきたら、肝臓で解毒し、体外へ排出する働きをしています。しかし肝臓の機能が低下すると、体にとって有毒物質であるアンモニアなどを解毒出来なくなり、体内にアンモニアなどの有毒物質が残ってしまいます。残った有毒物質は血液の中に溶け込んでしまい全身を巡り、肺に達して気化され呼気となり、ネズミのような臭い・ドブのような臭い・下水のような臭い・アンモニア臭の口臭がしてしまうのです。
肝機能障害に大きく関わる原因は、飲酒です。飲酒の他にも喫煙、暴飲暴食、運動不足、睡眠不足、疲れなどが関わっていますが、肝臓の不調を感じる場合はまず禁酒をすることが大切です。
体の症状としては、とてつもない疲労感を感じます。疲労感と独特の口臭がする場合は、肝機能が低下している可能性があります。

甘ったるい臭い

・口臭から甘ったるいツンとするような臭いがする場合は、胃や脾臓(ひぞう)、膵臓(すいぞう)に原因がある可能性があります。消化吸収を助ける胃や脾臓、膵臓は食べ物を吸収して栄養分を処理する働きがあります。暴飲暴食などにより消化吸収の作用が低下すると、脳と体の栄養吸収と酵素配給のバランスが崩れてしまいます。この症状を東洋医学では脾胃不和と言い、体にとって不要なものを処理できなくなってしまい、消化したものを腸へ送ることが出来なくなってしまいます。そのため酸っぱいようなゲップが多くなり、口臭の原因となってしまいます。

・糖尿病の人も、独特の甘ったるいような甘酸っぱい臭いがします。
・乳幼児の尿や汗がメープルシロップのような甘い香りがする時は、メープルシロップ尿症という病気の可能性があります。

疲れや病的口臭の対処法

疲れや病的口臭の対処法は、原因である内臓の症状を回復させなければ口臭を改善することは出来ません。病院で適切な診断を受け、投薬などで治療していきましょう。

特徴的な匂いがしたら病院で健診を受ける

口臭から、酸っぱい臭いや腐敗臭など特徴的な匂いがしたら、早めに病院で検診を受けるようにする事が大切です。
肝臓や腎臓は沈黙の臓器と呼ばれ、肝臓や腎臓などの不調は初期段階で自覚症状はほとんどありません。気がつかないうちに病気が進行していく可能性がありますので、独特の匂いを感じたらすぐに病院で診察を受けましょう。

安静に身体を休める

疲れが溜まってしまうと、疲労臭が出るだけではなく、体内の代謝機能や解毒作用に影響を及ぼします。さらに疲労が積み重なると、心も体も限界まで酷使され体調が悪化し、負のスパイラルに入ってしまうのです。疲労を感じたら、安静に体を休める事が大切です。
疲労やストレスを感じたらゆっくり休みましょう。ストレスと疲れを溜めないように体をリラックスさせる事が重要です。

生活習慣を整える

ストレスや疲労を溜めないためにも、生活習慣を整えることは重要です。深酒など過度なアルコール摂取を控える、禁煙する、栄養バランスが整うような食品を摂取する、安定した睡眠時間の確保、リラックスする時間を持つようにすることなど、生活習慣を整えることは口臭の改善だけでなく体のリズムを整えることに繋がります。

生活リズムを整えストレスを溜め込まない工夫を!

口臭予防には、規則正しい生活をして生活リズムを整える事がポイントです。私たちの体は自律神経が司り、消化や栄養伝達、瞬き、唾液の分泌など色々な働きをしています。自律神経が正常に働くためには、規則正しい生活をする事が重要です。昼間は活動するために交感神経が働き、夜はリラックスして休むように副交感神経が働きます。自律神経が本来の働きをしてくれるように生活習慣を整え、ストレスを溜め込まずリラックス出来る環境を作るように心がけましょう。