フロスは必要!?食べカスを残さない歯磨きの方法

フロスは必要!?食べカスを残さない歯磨きの方法

普段の歯磨きで毎回デンタルフロスを使っている人は少ないです。

しかし、ただ何となく歯磨きをしているだけでは、口の中にはたくさんの食べカスが残ったままの状態です。

食べカスは口臭の原因になってしまうだけでなく、虫歯や歯周病の原因にもなってしまいます。

食べカスを口の中に残さないためには、どのように口腔ケアをしていったら良いのでしょうか?

食べカスの磨きの残しが口臭の原因に!

食べカスとは、毎回の食事で歯や口の中に蓄積された食べ物のかけらです。

歯磨きをしてもきちんと洗浄できてない場合、食べ残しとして食べカスが口内に残ります。

口の中にいる細菌は、食べカスをエサにして繁殖していきます。

その時細菌が毒ガスを発するのですが、これが口臭となってしまうのです。

ほんの少しの食べカスでも強烈な口臭の元になってしまうので、歯磨きできちんと除去するようにしましょう。

歯垢と食べカスは別物!歯垢は細菌の塊だった

歯垢(プラーク)は虫歯菌や歯周病菌などが集まった細菌の塊です。

歯垢を顕微鏡でのぞいてみると、細菌が活発に動いている様子を見ることが出来ます。

歯垢は唾液の流れが悪い場所で増殖します。

虫歯の原因菌であるミュータンス菌が、食べカスに含まれる糖をエサに、食べカスがあった場所にグルカンという黄白色の粘着質を作り、歯に付着させます。

これが歯垢です。

歯垢そのものが臭いを発するわけではないのですが、蓄積された歯垢は、悪臭ガスを発する嫌気性細菌のすみかになります。

歯垢1mgに数億から数兆もの細菌が潜んでいます。

これは同じ量のうんちよりも多い細菌量なのです。

歯垢が増えると、細菌が繁殖して虫歯や歯周病や口臭を引き起こします。

歯垢の増加で、口臭の原因「歯周病」「虫歯」の引き金に

歯垢が原因となる口のトラブルは、虫歯・歯周病・口臭です。

歯肉の炎症細菌の塊である歯垢が増加し、唾液に含まれるカルシウムやリン酸と反応すると石灰化して歯石になります。

歯石は死んだ細菌の塊であり、その歯垢が石灰化し、どんどん歯石が大きくなるので、さらに細菌を呼ぶのです。

細菌が発するメチルカプタンという毒ガスが歯肉に当たると、歯茎が腫れたり出血したりする炎症に繋がります。

歯周病の炎症が歯の根元まで到達して、歯肉の中にある歯槽骨を溶かしたり、歯周組織にダメージを与えるようになると、簡単に治療できる状態ではなくなります。

その時は嫌気性細菌よりも何倍も臭い生ごみのような口臭になっています。

歯周病はほとんどの場合、痛みなどの自覚症状がないまま進行していきます。

口臭がするときはかなり歯周病が進行しているので、気づいたら歯がグラグラしているかもしれません。

また歯垢の中にはミュータンス菌という虫歯菌が存在します。

歯垢の中でミュータンス菌はどんどん繁殖し、食事に含まれる糖をエサにして酸を作り出し歯のエナメル質を溶かしていきます。

溶かされた歯は唾液の成分で元に戻るのですが、食べカスが大量に口内に残っているとミュータンス菌の数もその分どんどん増えるため、溶かされた歯の修復が間に合わなくなってきます。

歯垢が長く歯についていると、どんどん歯が溶かされて穴が空いてしまうのです。

ミュータンス菌は歯の表面のエナメル質を溶かしてしまったら、その内側の象牙質を溶かし始めます。

象牙質の内側には、神経やリンパ管、血管などが通った組織があり、ここまで溶かされると激痛を感じます。

虫歯の穴にもミュータンス菌は入り込みますので、虫歯はどんどん進行していきます。

増殖したミュータンス菌は悪臭ガスを発しますので、口臭の原因になってしまうのです。

虫歯が進行して神経に達すると、神経が腐り腐敗臭を発します。

このような口臭は、歯垢が原因で発生しており、歯垢は歯周病や虫歯を引き起こす可能性が高いのです。

食べカスを残さない正しい歯磨きで口臭の原因を作らない!

歯垢は歯の表面胃強く付着しているので、雑な歯磨きでは取り除けません。

歯垢の原因となってしまう食べカスを口内に残さないように、正しい歯磨きをして食べカスをきちんと取り除き洗浄しましょう。

正しい歯磨きには3つのルールがあります。

  1. 歯面にブラシの毛先をきちんと充てる
  2. 毛先が広がらないくらいの軽い力で磨く
  3. 5~10mmを目安に小刻みに動かして少しずつ磨く

強い力で磨くと歯茎を傷つけてしまう恐れがあります。

歯茎に傷がつくとそこに細菌が入り込みトラブルになる可能性があります。

歯ブラシは軽い力で磨きましょう。

規則的な歯磨き習慣を!食後8時間で食べカスから歯垢に

細菌は、口内に残った食べカスのに含まれるタンパク質などをエサにしてどんどん繁殖していきます。

だいたい食後8時間で歯垢は生成されます。

口内に食べカスを残さないことが、細菌の繁殖を抑えるのにとても重要です。

食後はきちんと歯磨きをして、食べカスを除去してましょう。

奥歯のかみ合わせ部分、歯と歯の間、歯と歯茎の境目はとくに歯垢が残りやすいので、丁寧に無害ていきましょう。

また利き腕側の犬歯から小臼歯あたりは、歯ブラシのヘッドを変えなければ磨きにくいため、磨き残しが多くなります。

右利きの人は右側、左利きの人は左側を意識してきちんと磨きましょう。

歯の隙間を磨いて、歯垢・歯石など口臭の原因に繋がる物を残さない

歯の隙間をきちんと磨くことで、歯垢の除去や歯石の付着を防いでいくプラークコントロールは、口臭予防だけでなく、虫歯や歯周病も防ぎます。

歯の隙間の食べカス・歯垢をきちんと落としていきましょう。

歯の隙間を磨くときは、歯ブラシを横ではなく縦に向けて、歯と歯の間に挟まるように歯ブラシの角度を調整して、縦に小刻みに動かしていきます。

こうすると、歯の歯垢が落ちやすくなるのです。

歯と歯の間の歯垢を落とすのが目的の時は、歯ブラシの硬さは普通~硬めがオススメです。

歯磨き後に歯がざらざらしていて歯垢が付着している時は、歯ブラシの硬さは普通~硬め、歯周病が進行している人は、柔らかめの歯ブラシを選びましょう。

また歯と歯の間を磨くのに向いている歯ブラシは、山形カットのタイプです。

歯と歯の間にちょうどフィットして、毛先の動きに無駄がなく汚れを除去してくれます。

デンタルフロス・歯間ブラシ・ワンタフト歯ブラシ使用がおすすめ

口内は体温と同じ36~37度なので、食べカスが口内で発酵して腐敗していくのには最適な温度です。

口臭を防ぐためには、食べカスを残さないように丁寧な歯磨きが重要です。

しかし、歯ブラシだけではどうしても行き届かない部分が出てきます。

そんな時のために、デンタルフロス・歯間ブラシ・ワンタフト歯ブラシを有効活用して、歯ブラシだけでは落とせない汚れや食べカスをしっかり洗浄しましょう。

デンタルフロス

デンタルフロスとは、歯と歯の間に挟まった食べカスや歯垢を取り除くための細い糸です。

デンタルフロスはスウェーデンやあまりかでは普及率が50%を越えていますが、日本では20パーセントの普及率しかないのです。

歯と歯の間の掃除をしなければ、歯垢は落ちにくく歯肉炎・歯周病になる可能性が高くなります。

日ごろから歯と歯の間を洗浄するようにすれば、歯垢の量はぐんと減ります。

歯ブラシだけでは口内の歯垢除去率は60%のところが、デンタルフロスを併用すると歯垢除去率が80%にまで上がるのです。

デンタルフロスなら、歯と歯の隙間や、歯並びが悪く重なった歯の間にも入り込めるため、しっかりと食べカスや歯垢を除去できるのです。

デンタルフロスは、ロールタイプとホルダータイプがあります。

初めて使う人には、手で持つタイプのホルダータイプがオススメです。

ホルダータイプは歯が重なり合ってる人には使いにくいかもしれませんので、ロールタイプを使いましょう。

ロールタイプのデンタルフロスの使い方

フロスを40cmくらい切り取り、端をぴんと張って両手でつまみながら口の中へ入れていきます。

歯茎にフロスが当たると歯茎を傷めてしまいますので、ゆっくりフロスを左右に動かしながら歯と歯の間に入れていきます。

フロスが歯の間を通ったら、こすりながら汚れを取り除いていきます。

取り出す時もゆっくりとフロスを引き上げます。

この時動きにくい時は、無理に動かさずに一方の手を放して、フロスを外側に引き抜いてください。

持ち手があるデンタルフロス

鏡を見ながら歯並びに沿って順番にフロスの糸の部分を歯と歯の間にゆっくりと入れていきます。

仲間で入ったら、両方の歯の面に糸を沿わせながら汚れを取り除いていきます。

デンタルフロスは子どものオーラルケアにも有効です。

乳歯の時期、奥歯は特に虫歯になりやすいので、積極的にデンタルフロスを使って歯垢を除去してあげましょう。

歯間ブラシ

歯間ブラシとは、歯と歯の隙間を掃除するブラシです。

歯と歯茎の境目に入り込んだ食べカスも綺麗に取ることが出来るのでとても便利なアイテムです。

歯ブラシだけではどうしても歯の表面しか磨けないのです。

歯ブラシのみを使った場合の歯垢除去率は60%ですが、歯間ブラシを併用すると歯垢除去率は85%にまで上がります。

加齢とともに歯茎が下がってくると、歯の根っこの部分が出てきます。

この部分は象牙質で、歯のエナメル部分より柔らかいので虫歯になりやすいです。

歯間ブラシを使って歯と歯茎の境目をしっかり磨くと、根元部分の歯垢が取れるので虫歯予防に効果的です。

ブリッジを使用している人は、ダミーの歯と前後の歯のつなぎ目に食べカスや歯垢がたまりやすくなっていますので、歯間ブラシを使用するときれいに洗浄することが出来ます。

歯並びが悪い人や歯と歯に隙間がある人も、隙間に歯垢が溜まりやすいので歯間ブラシを使用すると洗浄の効率が上がります。

歯間ブラシは歯ブラシより前に使用することが効果的です。

磨き残しが多くなる箇所を先に磨くことで、全体の汚れ除去率が上がります。

歯間ブラシにも、前歯にも置く場にも使えるように先が曲がっているカーブタイプや、前歯に使うストレートタイプ、奥歯に使うL字型のアングルタイプがあります。

部位によって使い分けましょう。

歯の内側にも食べカスがはさまっていますので、いろいろなタイプの歯間ブラシがあるととても役立ちます。

歯間ブラシのサイズはSSSS,SSS,SS,S,M,Lと7サイズあります。

汚れをきれいに取るには、自分に適したサイズのものを使う必要があります。

歯間ブラシには、毛束で出来た金属ワイヤーを使ったものと、歯と歯茎にやさしいゴムタイプの歯間ブラシがあります。

素材や硬さも選べるので、歯茎に負担がかからないものを選ぶようにしましょう。

かぶせ物が入っている歯のまわりなどはゴムタイプの歯間ブラシがオススメです。

歯間ブラシが初めての人はゴムタイプの物から使ってみると良いでしょう。

ワンタフト歯ブラシ

ワンタフトとは1つの毛束という意味です。

ワンタフト歯ブラシは毛束が1つの歯ブラシで、通常の歯ブラシでは磨きにくい箇所を丁寧に磨くことができるのです。

日本であまりなじみのないワンタフト歯ブラシですが、予防歯科先進国のスウェーデンなどでは、日々の歯磨きの必須アイテムです。

まず歯磨きの方法としては、ワンタフト歯ブラシを通常の歯ブラシより先に使って、磨きの腰のリスクが高い箇所から磨いていきます。

歯ブラシの手順
ワンタフト歯ブラシ→通常の歯ブラシ

  1. 鉛筆を持つようにワンタフト歯ブラシを持ちます。
  2. 毛先が少ししなる程度の力で、磨きにくい奥歯からブラッシングしていきます。
    特に上の奥歯は磨きの腰が多い部分です。
    歯の後ろ側も、ワンタフト歯ブラシを小刻みに動かしてしっかり磨きましょう。
    この時、歯と歯の間、歯と歯茎の境目に毛先が入り込むイメージで磨いていきます。
    斜めになっている親知らずの付近や、歯並びが悪く歯が重なっている所なども丁寧に磨いていきます。
  3. ブリッジがある場合は、真ん中のかぶせ歯の下に汚れが溜まりやすくなります。
    ワンタフト歯ブラシで丁寧につなぎ部分を磨いていきます。
  4. 上の歯の前歯の裏側は、シャベル上にくぼみがあるため通常の歯ブラシでは磨きにくい箇所です。
    ワンタフト歯ブラシを歯にしっかりと押し当てて、ぐるぐる円を描くように20回くらい回転させて磨きましょう。
  5. 噛み合わせの部分は歯にへこんだ溝があります。
    この溝の部分に汚れが溜まりやすくなっていますので、歯の溝もワンタフト歯ブラシでぐるぐる円を描くように丁寧に磨きます。
  6. 歯科矯正装置を装着している場合は、通常の歯ブラシだけでは綺麗に磨くことはほぼ不可能です。
    ワンタフトブラシで矯正装置の周りもきちんと磨きましょう。
    歯と装置の境目は特に念入りに磨きましょう。
  7. その後歯ブラシで全体を磨きます。

食べカスを残すと口臭の原因に。

フロスや歯間ブラシで清潔な口内環境を

口内に食べカスが残っていると細菌のエサになってしまうので、口内で細菌が繁殖して口臭の原因になってしまいます。

歯磨きは毎日こつこつと丁寧に継続して行うことがとても大切です。

普段から歯ブラシだけでなく、デンタルフロスや歯間ブラシを利用するようにして、清潔な口内環境を保つように心がけましょう。

こびりついてしまった歯石や、歯周ポケットに入り込んだ歯垢は歯ブラシでは取り除けないので、半年に1度は歯科の定期クリーニングを受けて、歯石を取ってもらうことをオススメします。