口臭の原因によって臭いの種類が違います。
口臭から腐敗臭を感じる事はありませんか?腐敗臭の口臭は奥に病気が潜んでいる可能性があります。
何かが腐ったような腐敗臭の口臭がする時の原因とその対処法について、詳しく説明していきます。
目次
臭いは”何か”のサイン!腐った匂いになりやすい病気や原因
昔から口臭や体臭は、体からのサインとして病気の診断にも利用されていました。
口臭は体調のバロメーターでもあります。
体調の症状別に臭いの原因を見ていきましょう。
ガンの可能性も?胃腸の障害でも腐った匂いが
胃腸の障害は、口臭の原因になります。
胃の不調による口臭
胃は食べ物を消化する臓器ですが、胃が不調になると胃の働きが弱まって来て消化不良を起こします。
消化不良になると、食べ物は消化されずに胃の中に残ってしまい、腐敗・発酵して腐敗臭を発します。
この悪臭はそのまま胃から口へ出てくるわけではなく、悪臭が胃の中に充満した後、胃壁から血液に取り込まれて全身を巡り、肺に達して気化され呼気となり口臭がしてしまうのです。
この時の匂いは酸っぱい臭いがします。
腸の不調による口臭
腸の不調も、口臭を引き起こします。
腸が不調になると、腸内環境が乱れて腸内の細菌バランスが崩れ始めます。
腸内には善玉菌と悪玉菌と日和見菌がバランスよく存在しています。
日和見菌とは、その名の通り日々の細菌バランスによって変化します。
腸内が善玉菌優勢の時は日和見菌も善玉菌の働きをして、悪玉菌優勢の時は日和見菌も悪玉菌の働きをします。
腸内が善玉菌優勢の時は悪玉菌の活動を抑えてくれるので、腸内環境が整っている状態ですが、悪玉菌が優勢になるとトラブルを引き起こします。
中でも便秘症になると、老廃物が滞ってしまいます。
悪玉菌が腸内を腐敗させて、有害物質やアンモニア・スカトールなどの有毒ガスを発生させます。
この有毒ガスが腸内に充満し、腸壁から血液に取り込まれて全身を巡り、肺に達して気化され呼気となり、口臭の原因になってしまうのです。
この時の臭いは、卵が腐ったような臭いがします。
がん患者の口臭
がん患者には、独特の口臭があります。
がん病棟に行くとそれが感じられる人が多いと言われます。
1989年には、がん患者特有の臭いを嗅ぎ分けるがん探知犬の存在が発表されました。
がん細胞には、健康な細胞とは違う特有の代謝があるので、その際に揮発性物質ががん患者からの呼気に現れると言われています。
大腸ガン、乳がん、呼吸器系のガン、それぞれに、胃腸の不調による口臭とは少し違う独特の腐敗臭がします。
症状ごとに体内で起こる代謝が違うので、人それぞれに水分代謝とバランスが違うことから、臭いの種類も違います。
あなたや、あなたの大切な人の口臭がいつもと違っていたら、出来るだけ早めに病院の診察を受けるようにしましょう。
トリメチルアミン尿症(魚臭症候群)
トリメチルアミン尿症とは魚臭症候群とも呼ばれ、口臭や体臭が魚の腐ったような臭いがする症状です。
魚介類に多く含まれるレシチンが腸内細菌によって分解されて、魚のような臭いのトリメチルアミンに分解され、それが全身を巡り呼気や汗となって排出されてしまうのです。
この症状は、トリメチルアミンを分解する際に必要なモノオキシゲナーゼという酵素が不足していることが原因で起こる代謝異常です。
体臭や口臭が魚が腐ったような臭いがするので悩みは深刻ですが、まだ日本では症例も少なく具体的な治療法はわかっていません。
魚を食べると臭いがきつくなる事、遺伝も関係しているのではないか、という事までは分かっています。
そこで治療というよりは食事療法で、トリメチルアミンの元になるコリン・カルニチン・レシチンを含む食品の摂取を制限するようにしていきます。
慢性副鼻腔炎(ちくのう症)
風邪やアレルギー症状・花粉症がきっかけで起こる蓄膿症は、副鼻腔炎とも呼ばれます。
以下のような症状がないでしょうか?
- いつも鼻が詰まっていて呼吸しづらい
- 粘り気のある黄色い鼻水が出る
- 鼻をかんでも、鼻水が奥に残っている感覚がある
- 顔が痛い、特に目の下、頬の部分、鼻の周り、おでこに鈍痛がある
- 頭痛が多い
- 鼻水が喉に落ちる
- 食べ物の臭いや味がよくわからなくなった
これらの症状は蓄膿症の症状です。
風邪などで副鼻腔と呼ばれる部分が炎症を起こし、副鼻腔には膿が溜まっていきます。
この膿が臭く、生ゴミ臭や腐敗臭がします。
副鼻腔に溜まった膿が悪臭を放つために、呼吸時は鼻から呼気とともに腐敗臭が放出されてしまいます。
この臭いは自分でもわかるため、自他共に分かってしまう臭いとなってしまうのです。
歯周病
成人のおよそ80%が歯周病を患っていると言われています。
歯と歯茎の間に付着した食べカスや歯垢が発酵するために腐敗臭がしてしまいます。
また歯垢は細菌の塊ですので、とても臭いです。
歯垢を触ると、きつい腐敗臭がします。
口内に歯垢が増えると、細菌がその分繁殖し、毒素を発します。
この毒素が当たった歯肉の部分が炎症を起こし、歯肉炎になってしまいます。
さらに歯周病が進行すると、歯と歯の間に歯周ポケットという溝を作っていきます。
歯周ポケットにも食べカスや歯垢が溜まり、歯垢はやがて歯石へ変化してしまいます。
歯石は歯医者さんで取ってもらわなければ、完全には除去できません。
歯石は体にとっては異物なので、歯石と歯石付近にいる細菌と戦うように指令を出します。
そのため歯石付近では常に白血球との戦いが繰り広げられているのです。
戦いの後の白血球と細菌の残骸が混ざりあったものが膿です。
この膿もひどい悪臭です。
膿は歯周病が進行すればするほど、どんどん溜まっていき悪臭を発します。
歯周病が重度歯周病になると、毒素が歯の周りの歯槽骨の部分を溶かし出します。
そして最終的には骨を支えることができず歯が抜け落ちてしまう恐ろしい病気なのです。
病気ではなく口内の不衛生が原因のひとつ
気になる腐敗臭の口臭は、口内の不衛生も原因の一つです。
口臭の大きな原因である歯周病も、歯磨きで食べカスや歯垢が残ってしまうことから始まります。
初期段階で予防するためにも、日頃の丁寧な歯磨きが重要ポイントになります。
正しい歯磨きを行うことで、食べカスや歯垢の洗浄率は大きくアップします。
特に歯と歯の隙間をよく磨くことは重要です。
歯の隙間は、歯ブラシだけではなく歯間ブラシやデンタルフロスを使って丁寧に洗浄しましょう。
一度付着してしまった歯石は、自力で取り除くことは不可能です。
歯医者さんで歯石除去クリーニングをしてもらいましょう。
水分不足(ドライマウス)
口臭に口内の水分不足も大きく関係しています。
口内の水分不足の状態は、口内の乾燥を招きます。
口内が乾燥すると、唾液の分泌量が低下していきます。
私たちの口内には、腸内以上に細菌が棲んでいますが、細菌が悪臭ガスを発しないのは、唾液で口内が潤っているからです。
唾液には、抗菌・殺菌の効果があるので、口内を清潔に保ってくれます。
その唾液の分泌量が低下すると、口内は乾燥し粘つくようになります。
唾液の量が少なくなると、細菌が繁殖しやすい状況になり、細菌が口臭の元になる悪臭ガスを発するのです。
この悪臭ガスの成分は、硫化水素・メチルメルカプタン・ジメチルサルファイドなどを含む揮発性硫黄化合物です。
これはかなりの腐敗臭で、悪臭です。
唾液の主な成分は水分です。
体が水分不足になれば、当然唾液の量も減ってきます。
スムーズな唾液の生成のためにも、口内に十分な唾液の量を確保する分の水分を補給することが重要になります。
この時、水分補給だからといって一度に大量のお水を飲むことと、尿や汗として排出されてしまう分も多く唾液の生成には適しません。
唾液を生成するためには、こまめに複数回に分けながら少量ずつ水分補給をしていきましょう。
またこの時の水分も、カフェインや糖分が含まれているものだと、利尿作用や糖の成分で水分補給には向きませんので、ミネラルウォーターを飲むようにしましょう。
特に生理的口臭と呼ばれる起床時・緊張時・空腹時・疲労時などは、口内が乾燥して唾液が少なくなり口臭がしてしまいます。
生理的口臭がしている時も、意識的に水分を摂取するようにしましょう。
口から腐敗臭した時の対処法
口臭が腐敗臭だった時は、とにかく早めに対処しましょう。
まずは基本ですが、丁寧な歯磨きをする習慣をつけることはとても大切です。
歯垢の付着は口臭と歯周病の原因となります。
丁寧な歯磨きをして、出来るだけ歯垢を除去できるようにしましょう。
起床時、毎食後、寝る前の歯磨きを徹底していきましょう。
- ブラシ部分は、自分の前歯2本分くらいの歯ブラシを選びましょう。
- 毛先がフラットになっているものを選びましょう。ギザギザカットのものは、歯垢を取り除きにくいです。
- ブラシの硬さは、普通〜かた目を選びましょう。歯茎に炎症が起きて出血がある場合は、やわらかめのブラシを選びましょう。
- ペンを持つように歯ブラシを握り、軽く磨いて行く。歯は強くゴシゴシ磨かないことが鉄則です。歯の表面のエナメル質はとてもデリケートなので、ゴシゴシこするとエナメル質が禿げてしまいます。
- 歯の表面に90度にブラシをあて、1箇所に20回ほど小刻みに歯ブラシを動かします。歯と歯茎の間には45度に歯ブラシをあてて磨きましょう。
口の中が常に潤っている状態にしておきましょう。
蓄膿症やきつい腐敗臭がする場合は病院へ
蓄膿症による腐敗臭は、蓄膿症の治療をしなければ改善されません。
一旦蓄膿症になってしまうと、完治までに時間がかかります。
腐敗臭がすることもきついですが、蓄膿症の症状自体を悪化させないためにも、腐敗臭を感じたり鼻の詰まりがひどい場合は早めに病院を受診しましょう。
また蓄膿症になると鼻で息がしづらくなるため、口呼吸になることも口臭が悪化する原因になります。
口呼吸の人は、口の中にダイレクトに空気が通ってしまうので、口の中が乾燥してしまい唾液が蒸発してしまいます。
唾液の量が減ることで、口内の雑菌も増えて口臭がしてしまうのです。
蓄膿症は根本治療が重要ですので、きちんと完治するまで通院して治療をしましょう。
また、口臭や腐敗臭についての相談をする時は「口臭や腐敗臭が鼻からする」ということを、きちんと医師に伝えましょう。
腐敗臭は鼻からだけなのか、体臭から腐敗臭がしないかなどきちんと確かめてから医師に相談することが大切です。
もしも体臭から腐敗臭がする場合は、蓄膿症以外にも原因があるかもしれないので、必要な診断のために自分の症状は、医師に正確に伝えましょう。
食生活・生活リズムを整える
食生活・生活リズムを整える事は、口臭改善だけでなく体のためにもとても大切な事です。
以下のことに特に気をつけましょう。
- 暴飲暴食をしない
- ストレスをためない
- バランスの良い食事をする
- 寝る前に食事をしない
- 早食いをしない
- 肉類中心の食事をしない
- 睡眠時間をしっかり取る
- 1日の中でリラックスした時間を確保する
中でも一見関係なさそうに見える精神的ストレスも、胃腸に影響します。
胃腸の働きである消化・吸収は、自律神経が司っています。
ストレスがかかると自律神経の乱れが生じてしまい、胃腸の働きにも影響してしまいます。
特に腸は、免疫細胞や神経細胞が集まっている大切な器官です。
腸内環境を整えるには、善玉菌を増やすた目の食べ物を意識的に摂取するようにしましょう。
腸に良い食べ物として、ヨーグルト・乳酸菌などとはちみつなどのオリゴ糖を一緒に摂取すると、腸内の善玉菌を増やすのに役立ちます。
他にも、納豆・味噌・キムチなどの発酵食品、野菜類、海藻類、キノコなどの食物繊維なども腸に良い食事です。
これらの食品を積極的に取り入れていきましょう。
マウスウォッシュなどを使って口腔内の状態を整える
日頃の口腔ケアとして、歯磨きだけでなくマウスウォッシュを使うこともオススメです。
歯ブラシではどうしても届きにくい奥歯やブリッジの部分などの細かい箇所は、食べカスや歯垢が残りやすい箇所になります。
液体のマウスウォッシュであれば、口内の隅々にまで液体が行き届くので、磨き残しの箇所もきれいに洗浄することができるので、口腔内を清潔に保つことが出来ます。
アルコールの刺激が強いマウスウォッシュが苦手な人は、天然植物由来のマウスウォッシュであれば低刺激なので、お子様から高齢者まで安心して使うことが出来ます。
マウスウォッシュで口臭予防をして、意識的に口内環境を整えていきましょう。
体臭から腐敗臭する場合は病院へ!口内からか確認して正しい口臭対策を
気になる悩みの体臭や口臭ですが、臭いは体からのサインです。
まずは自分の口内に口臭の原因がないかをしっかり確認して、正しい口臭対策をしていきましょう。
定期的に歯科で検診を受けることもオススメです。
虫歯や歯周病の歯科治療は、早期治療の方が時間もお金もかからないのです。
日頃から口内環境を意識するようにしていきましょう。
口からだけでなく体臭から腐敗臭がする場合は、裏に重篤な病気が隠れている可能性があります。
ちょっとでも臭いや体の違和感を感じたら、すぐに病院で検査を受けましょう。